冬の青森の八百屋の店頭はいろどり、品数ともに、他の季節に比べ貧弱だ。半裁した白菜やトマト、キュウリなどもあるにはあるが、片隅に追いやられていて、フキ、ワラビ、キノコ、切り漬け、沢庵など、漬け物類が幅をきかせている。色鮮やかな野菜が並ぶスーパーの売り場とは対照的である。
むかし、青森にはシビガッチャキという病気があったそうだ。手や足の皮膚に細かいひび割れができて、耐えられないほどに痒くなったとか、ほかに口角炎なども。それはビタミンB2の欠乏症だという(肉とか油のない栄養欠陥でもあるのだが)。
雪がつもると青物の収穫ができなくなる、それを補うためには漬け物を使わざるをえなかったのだ。一種の風土病だといえるだろう。今は冷凍、冷蔵の保存技術と輸送システムが整備されたために、もうシビガッチャキに苦しむ人は
なくなったようだ。しかし、シバれる町のなかでご先祖様の苦しみの片鱗をかい間見たような気がした。
(カンチョー)
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