ニュータウンは伝染する-2…神戸・須磨ニュータウン展2012

画像

この催しは2月にあったのですが、すっかりアップが遅くなってしまいました!この「ニュータウンは伝染する」シリーズは2回しかないんですが、1回目は北海道の北広島団地のカフェのお話でした。

須磨ニュータウン展は昨年第1回目があり、神戸女子大の皆さんの展示などが素晴らしく面白かったのにわずか1週間の会期でモッタイナ~イ!…とわたくしokkunがブログで騒ぐうちに神戸女子大の皆さんとの交流が始まり、一度は千里にも見学ツアーに来られて、「また今年も須磨ニュータウン展やりますよ~」…とうれしいご案内をいただいて、こんどは千里の皆と大挙して行ってきた…という話なのです。

おとなり西神ニュータウン研究会の皆さんやなんと須磨区長さんの出迎えまでいただき、光栄というかなんというか…!2012年版の展示は昨年の展示に新しい模型や解説も加わり、こまやかな生活観察はさすが!磨きがかかっていました。左で説明してくださっているのが指導役の梶木典子先生。

…さてこのように須磨と千里、2つのニュータウンでピンポンのように行ったり来たりしているわけですが、よそのニュータウンを見て面白く思えるのは、なぜなんでしょう?

…それはやっぱり、そこで描かれている「生活像」が(数年の年代のずれはあっても)他人事とは思えないからだろうと思います。離れた町どうしなのに、めったに会わない親戚に会ってみたら自分とそっくりだった…みたいな「既視感」。

神戸女子大の皆さんは2回の須磨ニュータウン展に際して、初期住民の方々にインタビューをされているのですが、そこで出てきた言葉が「ハッピーな町を作ろうとした」という思い。「ハッピーな町って?」…っと最初はパッとわからなかったものの、生活のディテールを追ううちに「ああ、これがそういうことなのか…」としだいにわかってきた…という話なんです。

それは千里ニュータウン初期住民の僕にとっては、すごく「わかる」物語でした。千里ニュータウンの入居は1962年から。須磨ニュータウン(高倉台)の入居は1973年から。その間には11年の差がありますが、千里で皆が追っかけていたことをもう少し若く表現すると「ハッピータウン」という表現になることは、「ああ、わかるわかる」という感じ。

これがニュータウンを比較する面白さなんです。2つとして同じニュータウンはなくても、たしかにそれぞれのニュータウンは「同じDNA」を持っている。ニュータウンは、大量の住宅や生活基盤を規格化することで効率的に供給しようとした試みなので、もともと「伝染していく」性質を持っていた。そのことは最初は専門家しか知らなかったとしても、40年後に住民が交流してみたらビックリ!…というわけです。

ことし秋、すいはくでは千里ニュータウン50年に合わせてふたたび「千里ニュータウン展」(仮称)をやりますが、前回はできなかった「ほかのニュータウンとの比較、類似点の発見」ができれば、「千里」が全国の中ではたした役割も浮かび上がってくるのではないでしょうか。それはきっと、ナスカの地上絵のように「大きな絵」なんです…。

さらに須磨ニュータウン展のキュートなところは、その橋渡しを若い学生さんがこのブログにいっぱいコメントをくださった…というところから始まったことですね。「ハッピーの遺伝子」は今も生きているのではないでしょうか。

(by okkun)

【オマケ画像】
神戸女子大のみなさんが制作した「リカちゃん人形の家族が再現する1973年の須磨ニュータウン団地ライフ」の模型とokkun。ついつい引き込まれてしまうんですよね

画像

コメント

  1. うっちゃん より:

    こんにちは!神戸女子大学のうっちゃんです。現在梶木研究室の院生として頑張ってます!先日は須磨ニュータウン展にご来場ありがとうございました。たくさんの方々に見ていただけてうれしかったです。模型などの作製は本当に大変でつらい面もありますが、okkunさん達のようなニュータウンを愛している方々に見ていただけて、たくさんのコメントまでいただけると本当に励みになります。
    今年は千里ニュータウン展が開催されるんですね。今からわくわくしています。また、お会いできるのを楽しみにしています!

  2. okkun より:

    うっちゃんさん、ブログアップが大変遅くなって恐縮です!2年目の展示はさすがに聞き込みや家族設定が念入りになって、皆さんの理解が進んだことがうかがえました。会場のレイアウトも格段に進歩しました。皆さんが取材でニュータウンの中に入っていくことじたいが町を元気にしていきますから、神戸女子大が隣にある須磨ニュータウンは本当にラッキーだと思います。すいはくのニュータウン展ではまたご協力をお願いすることもあるかもわかりませんが、またよろしくお願いします。卒業した皆さんにもどうぞよろしくお伝えください。

  3. みっちゃん より:

    こんばんは!神戸女子大学をこの春卒業したみっちゃんです。ニュータウンとの出会いは私の大学生活をとても素晴らしいものに変えてくれました!前回に続き今回は卒論の一貫としてニュータウンを研究することができ、すっかりニュータウンにハマッてしまいました(笑)うっちゃんがコメントしていたように、模型を作ることは大変な面もありましたが、それ以上に模型を見た人達のお言葉や、そこから白熱していく団地の話、とても魅力的でした。NT展後も、私達が卒業するギリギリまで模型たちは成長を続け、家具が増えたり生活感をアップさせたりしましたので、またいつか見ていただけたらなあと思います。
    私は卒業して神戸を離れてしまったのですが、千里ニュータウン展でおっくんに会える日を楽しみにしています!

  4. okkun より:

    神戸女子大卒業のみっちゃんさん(吹田にもみっちゃんがいるので)、ニュータウンは面白いでしょう…いまお住まいの近くにもあるのではないでしょうか。模型はそれ自体の意味以上に、作る過程で取材した経験や、見た人の感想や…そういうふうに広がっていくプロセスが大切なんだと思います。生活をきちっと観察して考えることは生きてく上で大切なことだから、とてもいいきっかけをつかんだんだと思いますよ。がんばってください。

タイトルとURLをコピーしました