館長ノート:あやしい栽培植物たち(その3)

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ミョウガ

シソの葉を摘みに行ったとき(9/12のblog「館長ノート:あやしい栽培植物たち」)、「味噌汁に入れるからミョウガもとってきて」といわれた。垣根のそばに、ぼさぼさした葉が密生した一群があって、先に芽がひっついている、これもアヤしい。
食べ方もいい加減なものだ。シャキシャキした歯触り、あえかな香りで、これといった味もない。汁の薬味にちらしたり、(探せば)漬けものもある。栄養価は期待できそうになく、腹のたしにはならない。親類のショウガが、料理界で力を発揮し、漢方薬としても重要なのに、ミョウガは民間薬どまりで、どうにも頼りないヤツだ。

先日奈良の田園地帯に散歩に行ったとき(9/28のblog「館長ノート:あやしい栽培植物たち(その2)」)、どんな状態でつくられているか、気をつけていた。ちょうど、夏ミョウガと冬ミョウガの変わり目だったのでなかなか見つからなかったが、畑の片隅に二,三株、駐車場の看板の下の空き地に一列、枯れ残っているくらいで、やはり作物にしては不真面目なあつかわれ方だった。
玄関の前の空き地に、狭い菜園のある家があった。カキやブドウの果樹のほか、ササゲ、やサトイモを少しづつ育てており、なかにシソ、ニラ、ミョウガも生えていた。よくみると、丁寧にちぎったあとがあり、よく利用していることがわかる。
栽培植物というと、私たちは広い耕地に、サイズをそろえた商品としての作物をイメージしがちだ。しかし、自給自足的な経済のなかでは、家族の食のたしにと必要なだけを、身近に育てるのが本当だろう。

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調べていると、『延喜式』にはミョウガがずいぶん出てきた。
「内膳式」には、ムギ、ダイズ、アズキ、ササゲ、カブ、ニラ、ネギ、フキ、アザミ、ウリ、ナス、チサ、セリ、などと並んで特定の栽培面積、牛や施肥、作業員数が規定されている。奈良、平安時代には、堂々たる作物だったのだ。寺や神社での祭りの供養料とされ、漬け物にされることが多かったようだ。野菜類は時代に嗜好がかわるためか、セリ、アザミなどは今はすっかり雑草扱いである。ミョウガもそんな窓際族だといえるのかもしれない。

(カンチョー)

コメント

  1. ぼら より:

    飛騨のブログ
    http://www.doblog.com/weblog/myblog/71133/2619425#2619425
    で、葉っぱの天ぷらを食べているカンチョーをお見かけしました。イチョウ・モミジ・サンショウ・アジサイ・カキ・・・野草というより、漢方薬の素材を見ているみたい。これもあやしい栽培植物系ですか?

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